2024年のお正月、大変なニュースが続けざまに飛び込んできて、日本は震撼しました。
その一つが、元日に能登地方で起きた大地震です。
石川県をはじめ、富山県・新潟県辺りで大変な被害が出ています。今なお被害の全容は分かっていません。
今現在、苦しく、不安な方がたくさんいらっしゃると思います。
心よりお見舞い申し上げます。
この記事では、この地震のニュースを見て改めて考えた「やさしい日本語」と、NHKニュースのアナウンスについて感じたことをまとめてみました。
外国人観光客は?
現在、日本を訪れる外国人観光客は、コロナ以前の水準まで戻ってきていると聞きます。
今回地震に襲われた地方にもさまざまな観光地があります。
きっと、たくさんの外国人の方が地震に遭われたのではないでしょうか。
私もずっとテレビに張り付いていたわけではありませんが、私が見る限り、そうした情報は流れてきませんでした。
その方々が今回の地震の情報(地震が起こる直前の警報、直後の津波の警報、避難所の情報など)を、日本人と同程度にしっかりキャッチし、安全な場所へ避難できたかがとても気になっています。
アナウンサーの言葉
私はずっとテレビのアナウンサー、中でもNHKニュースのアナウンサーの言葉に注目していました。
そこでは難しい言葉もたくさん使われていましたが、同時に誰が聞いても緊迫した状況だと分かる調子の声で、
「大きな津波が来ます!」
「急いで、高いところへ逃げてください!」
「海は危ないです。今すぐ、遠いところへ逃げてください!」
といったことも繰り返していました。
日本語能力試験のレベルで言えば、N5からN4レベル、いくら難しくてもN3レベルぐらいまでの語彙や文法の日本語です。(「津波」は、「高い波」と言ってもいいと思いますが、外国人の方にもかなり認知されている言葉です)いわゆる「やさしい日本語」です。
もしこれが、
「緊急津波警報が発令されました!」
「今すぐ高台へ避難してください!」
「海岸は危険です!近づかないでください!直ちに可能な限り遠くへ離れてください!」
だったら、どうでしょう。
「緊急」「警報」「発令」「高台」「避難」「直ちに」「可能な限り」…外国人の方だと分からない人も多いでしょう。「海岸」も、「海」よりはずっと分かりにくい日本語だと思います。
やさしいにほんごと、NHKのアナウンサー
「阪神・淡路大震災」以降、必要性が言われるようになった「やさしい日本語」。(※「やさしい日本語」については、こちらの記事にもまとめてあります)
その後も「東日本大震災」のような災害が繰り返される中で、使われる場面が広がっていきました。
また、NHKは東日本大震災以降、災害時の情報の伝え方を検討してきたそうです。人々がためらわずに命を守る行動を取るよう促す、とても強い、緊迫感あふれる口調でアナウンスするように改善したそうです。
それまでNHKのアナウンサーはどんな時でも冷静沈着、落ち着いたトーンで物事を伝えていた印象があります。それが、今はアナウンサーの「主観」をも交えた、危険をより強く人々に訴えるものに変化しています。
※このあたりは、こちらのNHKサイトの「取材ノート、ひろげます」の記事が、非常に、非常に、読み応えがあります。(これは前編です。後編は、こちらの記事です。)
今回の能登地方の地震のニュースでも、女性アナウンサーがよく通る太い声で命令していました。
「今すぐ、逃げること!」
「テレビを見ていないで、逃げてください!」
と。
やさしい日本語の広がりと、この絶叫に近い命令口調のアナウンス。(ちなみに、「動詞+こと。」の形で命令を表す文型は、N3レベルで勉強します)
見ていて、これなら日本人だけでなく外国人の方にも伝わるのではないかと、少しだけホッとしました。
※追記:その後(2024.5.31)、優れたテレビ番組や団体等に贈られる「第61回ギャラクシー賞」(放送批評懇談会主催)の報道活動部門で、「『NHKアナウンサーの命を守る呼びかけ』に関する一連の取り組み」が大賞を受賞したそうです!素晴らしい!
第61回(2023年度) – NPO法人 放送批評懇談会 (houkon.jp)
みなさん、ご無事で・・・
とはいえ、あの時間帯(午後四時過ぎ)の地震です。
多くの観光客は外を観光中だったのではないかと思います。テレビからの情報がどれだけの人に届いたでしょうか。X(旧ツイッター)などのSNSが活躍したのでしょうか。
周囲の日本人と助け合いながらちゃんと安全な場所へ移動できたことを願うばかりです。
そこから国へ帰らなければならない方も、なんとか無事に移動できたことを祈ります。
日本人は「和」を大切にする…
こういう災害が起きると、必ず世界各国が応援してくれます。
今回も見舞いや支援の声がいろいろ届いているようです。有難いことです。
私自身も当事者の日本人として何ができるかを考えました。ひとまず、信頼できるルートを見極め、できる範囲での募金かなと思っています。
日本は自然災害の多い国です。
でも、どんな災害も乗り越えてきました。今回も必ず乗り越えていけると思います。
『日本人は「和」を大切にする』、と、かつて某学校で担当していた「日本文化」という授業で伝えました。(教科書にもそのように書いてありました。)それを嘘にはしたくありません。
こういう時こそ、この「和」の精神の本当の価値が生かされる時だと思います。お互いに思いやる気持ちを海外の人にも伝えられたらいいなと思います。
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