2025年12月のJLPTが終わりました。
結果が出るのはまだ先ですが、学生の感想はさまざま。
私が今回聞いた学生の感想を集めてみました。
「すごく違反者多かった!」

今回、学生は会場で「袋」を渡され、それに自分のスマホ等の電子機器を入れるというルールがありました。
そしてその袋は、試験が終わり、試験監督者がOKを出すまで、「絶対に」開けてはいけないルールでした。
・・・それなのに、その前に開けてしまった、もしくは触ってしまった人のところに監督者が飛んできて、一発退場となった・・・という話を、複数聞きました。
しかも同じ会場で退場者が「たくさん」出た所もあったとか。
JLPTでは毎回不正を疑われる行為が見られ(受験者談)、それを阻止しようとする試験監督者とのイタチごっこのような状況になっているようです。
逆に、これまでは非常に監督の緩い会場もあり、怪しい動きをする受験生を見ても監督者が何も注意しなかった、という話も何度も聞いたことがありました。
が、今回は監督者側に「本気で」「厳しくいこう」という合意形成があったのかなと思います。
それは良いことだと思いました。
(この「厳しさ」が全国で統一されていれば、の話です。もし会場によって厳しさに差があったのなら、これは大問題です)
が、一方で・・・・・
「会場の運営側の不手際も多かった!」

聴解の会場で、機材トラブルか何かで音声が途中で止まり、試験やり直し(?あるいは途切れた所から聞いたのかもしれませんが)があり「非常に」終了時間が遅くなった、とか。(N1受験者)
また、ある会場では監督者の答案数え間違い(学生が教えてくれましたが、監督者が回収した答案を数えて表に書き入れていく作業をするそうです)で何回も(!)やり直し、その間長々~と待たされた、とか。(N2受験者)
試験が終了してもすぐに例の「袋」を開けていいです、というアナウンスがなかったためしびれを切らしたのか、ある受験者が袋を触ってしまい、そこにとんできた監督者と受験者がしばらくもめ、その間ずっと「無実の」受験者が座りっぱなしで待たされた、とか。(N1受験者)
休憩時間はただただず~っとトイレの行列に並ばなければならなかった、とか。(N3受験者)
身分証明のために在留カード(やパスポート)が必要と明記してあったのに、入場時から帰るまで一度も提示を求められなかった、とか。
・・・受験生ファーストで何とかできなかったものですかね。
機材トラブルは予想外のアクシデントだったのでしょうけれど、そういうことはあり得る前提で準備していれば、そんなにタイムロスは生じなかったのでは?(その学生曰くですが、予定より一時間も遅くなったそうです)
監督者と受験者がもめた、という件も、監督者が複数でその本人をひとまず別室に連れて行くなどの対応で他の学生にかかる負担を減らせたのでは?
トイレ問題は、特に女子です。男子トイレの一部は女子に開放してくれたのでしょうか?(←もししていたら、ごめんなさい)
そしてトイレから戻るのが数秒遅れて教室に入ってきた受験者は有無を言わさず退場処分、試験を受けられなかったとか。(N2受験者談・・・まあ、これは当然といえば当然ですけどね。でもトイレの数がもっとあれば、あるいはこんなことにはならなかったかも???)
身分証明書ノーチェックの件も心配です。本人確認は十分にできたんでしょうか? なりすましの別人受験がしやすくなってしまうのでは?
・・・等等、いろいろあったようです。
「問題の傾向、変わった?」

私の勤務校では、JLPT対策に1か月かけます。
普段から授業で使っているテキストで語彙や機能語を復習しつつ、受験級に対応した市販問題集をどんどん解いていきます。
市販問題集は一冊ではありません。いくつかの出版社から出ている、複数の問題集を使っています。
また、模擬試験も行います。
これは「公式」問題集のものです。
それを必死にこなし、まあまあの出来栄えであった学生から、

一生懸命勉強したもの、あんまりでなかったです…
とか、

聴解は学校で練習していたものより、ずっと複雑で難しかったです…
とか、
そんな感想を聞きました。
教師としてはガッカリすると同時に、学生に申し訳ない気持ちにもなりました。
これまでもそういう事はあったので、「もしや傾向が変わっているのでは?市販の問題集とはズレているのでは?」と疑っていたのですが、今回、さらに強くそう思いました。
・・・日本語教育業界で様々な改革が行われているさなかです。
もしや、JLPTの問題傾向も「Cando」寄りに変わってきている・・・???
と思うような「証言」もN1受験者から聞きました。ただこの「証言」は数としては少ないので、本当にそうなのか断言はできません。
が!!!
それを本当かどうか検証できないことこそ、問題だと思うのです。
お願いだから問題を公開してください!
私はJLPTのことを考えるたびに毎回思い、このサイトでも主張しているのですが、
問題を公式に公開してください!
日本語教師が実際の問題を見て分析する機会をください!
もしJLPTの問題傾向がCandoシラバスの広がりと共に変わっていくのなら、是非!
そうでなければ日本語学校でのJLPT対策が的外れのものになってしまいます。
そしてもう一つ。
配点も公開してください!
すべての問題の配点数、もし調整が行われているのなら(得点調整は大学入試のための共通試験でも行われていて、それはしっかり公開されています)それも含めて公開してください!
・・・と、一日本語教師として、ちょっとした危機感を覚えつつ思ったのでした。
日本語教師の皆さん、どう思われますか?

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