【日本語教師】作文指導をAIに助けてもらったら?…短文で試してみた。

現役日本語教師の方

こちらの記事『日本語教師におススメのテキスト系生成AI~ChatGPTだけじゃない』で取り上げた五つのテキスト生成AI。

本記事ではその各生成AIに、日本語の文を添削してもらった結果をご紹介します。

長い作文の添削をする前に、今回はとりあえず短文で添削してもらった結果を比較してみました。

各生成AIに出した指示(プロンプト)は、すべて全くおなじものです。

こちらです⇩⇩⇩

あなたは日本語教師です。N3の学習者が、次のような文を書きました。日本語教師として、どのように添削しますか?『私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがありました。その時は生活が困る高校生さんに助けてあげました。』

その結果をまとめます。

以下に各生成AIの回答をそのまま貼り付けます。背景が緑の部分が、回答です。その中の赤字のところが生成AIによって「添削された文」です。最後の黄色い枠内は、私(ブログ運営者)の個人的な感想です。

※なお、生成AIは、同一プロンプトでも毎回同一の文章(回答)を生成するわけではありませんのであしからず!

この文について、いくつかの修正点を提案します。文法や表現をより自然にするための添削を行います。

修正後の文:私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがあります。その時は、生活が困難な高校生を助けました。

添削ポイント:

  1. 「~ことがありました」 → 「~ことがあります」
    「あった」という過去の事実を述べていますが、体験を一般的に説明する場合には「あります」を使うと自然です。過去の出来事を振り返って話す時に、体験として「あります」を使うことがよくあります。
  2. 「生活が困る高校生さん」 → 「生活が困難な高校生」
    「困る」という表現は日常会話でよく使われますが、文脈においては「困難な」という形容詞の方がより自然で適切です。また、「さん」は人を尊敬するための接尾語であり、文中では省略した方がスムーズです。
  3. 「助けてあげました」 → 「助けました」
    「あげる」は、相手に対する気持ちや行動を強調する表現ですが、ここでは単に事実を伝えるだけで良いので、「助けました」の方が適切です。

修正された文も、添削ポイントも、無難な感じで「添削」としてバランスがよく安定感がある印象。

はい、この文の添削をさせていただきます。

私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがありました。その時は生活が困難な高校生の方々を助けました。

添削点は以下の通りです:

  1. 「生活が困る高校生さん」は「生活が困難な高校生の方々」と言い換えると、より丁寧な表現になります。
  2. 「助けてあげました」は「助けました」と簡潔に書くことができます。

全体としては、文法的に正しく、意味も明確に伝わる良い文章です。助詞の使い方や表現の丁寧さなどに気をつけて書けば、さらによい日本語になると思います。N3レベルの学習者としては、とてもよく書けていると評価できます。良い努力をしていると感じました。

添削後の文に「参加したことがありました」がそのまま残っているのが気になる。また、添削点のところ、なぜそのように添削したかの理由が希薄すぎる。ただ、非常に褒め上手。優しい先生という感じ。

はい、N3レベルの学習者の文章を添削させていただきます。以下に原文と修正案、そして説明を記します。

原文:
『私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがありました。その時は生活が困る高校生さんに助けてあげました。』

修正案:
私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがあります。その時は生活に困っている高校生を助けました。

説明:

  1. 「参加したことがありました」→「参加したことがあります」
    • 過去の経験を表す場合、「〜たことがあります」を使います。「ありました」は不自然です。
  2. 「生活が困る」→「生活に困っている」
    • 「困る」は自動詞なので、「〜に困る」という形を使います。
    • 現在の状態を表すため、「〜ている」形を使うのが適切です。
  3. 「高校生さん」→「高校生」
    • ボランティア活動の対象なので、「さん」は不要です。
  4. 「助けてあげました」→「助けました」
    • 「てあげる」は使い過ぎると押し付けがましく聞こえることがあります。
    • シンプルに「助けました」で十分です。

これらの修正により、より自然で適切な日本語表現になります。学習者の方には、特に助詞の使い方と「〜ている」形の使用に注意を払うよう指導するとよいでしょう。

2.と3.の言葉の修正は良いと思うけれど、修正理由の説明は、ちょっと言葉足らず。学習者は納得できないと思う。4.の「押しつけがましく聞こえる」は、修正理由として分かりやすい。

N3の学習者が書いた文を添削する際は、文法や表現の自然さに注意しながら修正します。また、学習者がどこで間違えやすいのかも考慮しつつ指導します。以下に添削例を示します。

修正前

『私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがありました。その時は生活が困る高校生さんに助けてあげました。』

修正後

私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがあります。その時は生活に困っている高校生を助けました。

修正ポイント

  1. 時制の一致:「ありました」から「あります」へ変更。過去の経験に関しては、現在完了形を使う方が一般的です。
  2. 表現の自然さ:「生活が困る高校生さんに助けてあげました」から「生活に困っている高校生を助けました」へ変更。「生活が困る」よりも「生活に困っている」が自然です。また、「高校生さん」ではなく「高校生」を使います。
  3. 余計な敬語を避ける:「助けてあげました」から「助けました」へ変更。敬語の「~てあげる」は不要です。

指導ポイント

  • 学習者には、なぜその修正が必要なのかを説明します。例えば「生活が困る」よりも「生活に困ってる」が、自然な表現であることを伝えます。
  • 時制の一致についても、過去の経験を話す場合には現在完了形を使うことを教えます。
  • 敬語や謙譲語の使い方についても、必要なときとそうでないときを区別することを指導します。

このようにして、学習者が自然で正確な日本語を使えるようにサポートします。

修正ポイント1.と指導ポイントに出てくる「現在完了形」というのが気になる。・・・ところで今回は何も褒めるポイントがなかったのかな。けっこう頻繁に褒めてくれる生成AIだと思っていたけれど。

生徒の文:私は高校生の時にボランティア活動に参加したことがありました。その時は生活が困る高校生さんに助けてあげました。

添削後の文: 高校生の頃、ボランティア活動に参加し、生活に困っている高校生を支援しました。

添削ポイントと解説

  1. 助動詞の使い分け:
    • 「~ことがありました」は、過去に経験したことを淡々と述べる際に使います。
    • 「~した」は、過去の具体的な行動を表す際に使います。
    • 今回の文脈では、具体的な行動である「支援する」ことを強調したいので、「~した」の方が適切です。
  2. 助詞の選択:
    • 「~に」は、動作の対象を表す際に使いますが、今回の場合は「支援する」という行為が「高校生」に向けられているので、「を」の方が自然です。
    • 「~する」は、動作を表す言葉ですが、「困る」は状態を表す言葉なので、「ている」に置き換えることでより自然な表現になります。
  3. 文の構成:
    • 「~の時に」よりも、「~の頃」の方がより自然な表現です。
    • 主語と述語を近づけることで、文がより簡潔で分かりやすくなります。

その他の補足

  • 「助けてあげる」の表現:
    • 「助けてあげる」は、相手に対して自分が親切なことをしているというニュアンスが強い表現です。
    • ボランティア活動は、お互いが助け合う関係であることを強調するため、「支援する」や「サポートする」といった表現の方が適切です。
  • 「生活が困る高校生」の表現:
    • より具体的に「生活困窮の高校生」や「経済的に困っている高校生」と表現することで、状況がより明確になります。

生徒へのフィードバック例

「この文、とてもいいですね! ボランティア活動の経験を具体的に書けています。

  • 『~ことがありました』を『~した』に変えると、より行動がはっきり伝わります。
  • 『~に助けてあげました』を『~を支援しました』に変えると、ボランティア活動のニュアンスがより適切になります。
  • 文章全体を少し短くすると、より簡潔で分かりやすくなります。

これらの点に注意して、文章を修正してみましょう。」

さらに深掘りしたい場合の質問例:

  • どのようなボランティア活動に参加しましたか?
  • どのような支援を行いましたか?
  • ボランティア活動を通して、何を学びましたか?

これらの質問をすることで、生徒の経験をより深く理解し、より具体的なフィードバックを行うことができます。

まとめ

今回の添削では、文法的な正確さだけでなく、表現の幅や文章全体の構成についても考慮しました。生徒の経験を尊重しながら、より効果的に伝えられるよう、丁寧な指導を行うことが大切です。

長い・・・。そして修正しすぎ・・・。「添削ポイントと解説」がスッと納得できる解説にはなっていない・・・。でも、具体的なフィードバックのセリフ(褒め言葉と励まし)や深堀りする質問までついていて「至れり尽くせりな生成AI」を目指している、という印象。

添削後の文は、Gemini以外ほとんど同じでした。

これまで何度も様々な文で試してみましたが、この程度の短い文だと、だいたい同じような添削をしてくることが多いようです。

参考までに、コチラの記事もよろしければお読みください!
『日本語教育と生成AI:ChatGPTとClaudeによる作文指導』

ですが、少し長めの作文になると、やはり各生成AIによって違いは出てきます。

また、冒頭にも書きましたが、生成AIは毎回生成される回答が少しずつ違います。

よりよい回答を得るためには、プロンプトを修正しながら何度か指示を出してみると良いようです。

いずれ自分のイメージにしっくりくるような回答が得られると思います。

今回ご紹介したのは、簡単な一例に過ぎません。

生成AIは長い本格的な作文の添削はもちろん、他にももっともっといろんな仕事をして日本語教師に協力してくれます。

多忙と言われる日本語教師の仕事を、さまざまな面でぐっと効率的に代替してくれます。

毎日少しずつ触り、AIに任せる仕事を増やし、その結果を見極める目(←すごく大事!)を養いながら、ツールとしてうまく使いこなしていたいものです。

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