日本の文化~季節の行事~日本語学校の7月から12月

日本語教師をめざす方

こちらの記事で、日本語学校で1月から6月の間に紹介することの多い季節の行事や風物詩をまとめました。

今回は後半、7月から12月までをご紹介します。

七月は、なんといっても七夕です。

竹(笹)を飾って、学生たちが短冊を書いてつるす学校は、たくさんあります。

学生は、JLPT合格や大学合格、恋の成就から世界平和に至るまで、さまざまな夢を書いて祈ります。

ときどき「・・・ん?」な日本語もまじっていますが、そこはご愛敬です。

知り合いの勤務校では、毎年七夕にはみんなで浴衣を着るイベントもしているそうです。

楽しい行事ですね。

夏休みがある8月は、遊びにアルバイトに、学生はとってもアクティブです。

お盆

アジアの学生、特に仏教文化圏出身の留学生からは、ときどき「お盆」について質問が出ます。

自分の国にもあるけれど、どう違うの?」ということが気になるようです。

何度か聞かれたことがある質問の中に、

「家の門の前に野菜に棒を突き刺して置いてあった。あれは何ですか?」というのがあります。

精霊馬。これですね⇩

とっても不思議なようです。

きゅうりは、脚の速い馬。「ご先祖様が早く家に来られますように」との願いを込めて。

なすは、牛。「ご先祖様がたくさんのお供え物を持って、ゆっくりあちらに戻られますように」との願いを込めて。

・・・おもしろい風習です。おそらく日本だけの風習かな?と思いますが・・・分かりません。

でも、これを街中で見かけることはずいぶん減りました。

夏祭り

8月は夏祭りが各地で開かれます。

盆踊りもあります。以前、日本語学校ではありませんでしたが、イギリス人の方に盆踊りを教えたことがあります。私も見様見真似なのですが・・・。張り切って踊ってくれました。

また、花火大会もたくさんあります。

留学生も花火は大好きですね。地域で花火大会があるときは、スケジュールを留学生と共有します。

でも最近の留学生はそうした情報をキャッチするのは早いので、私が先に教えられることもあります。

9月(年によっては10月)の中秋の名月は、とても美しいです。

夜なので学生と一緒に見たことはありませんが、天気が良かったらぜひ見て!と勧めています。

澄んだ夜空にぽっかり浮かぶ月には、本当にかぐや姫が住んでいそう…と話を広げ、

竹取物語のストーリーを紹介したりします(笑)。

すると学生が「自分の国の月にはこんな話があります…」と教えてくれることもあります。

もちろん、月見団子の紹介も欠かせません。

が、本場の中国(中秋の名月を愛でるのは元々中国から入ってきた習慣)やベトナムではこの日、月餅を食べるそうです。こんな文化の違いを発見できることも日本語教師のおもしろさです。

本来日本の行事ではありませんが、今やすっかり定着しました。

学校内にかぼちゃの飾りつけをしたり、中には仮装をしてパーティーをする学校もあるそうです。

以前私が勤務していた専門学校の学生達は、授業の後、クラスのみんなで渋谷に繰り出していました。

ハロウィンの渋谷といえば・・・良くも悪くも有名です。

昨年(2023年)はだいぶ自粛されていたようですが、今年はどうなるでしょうか。

日本人は昔から紅葉を愛でる習慣があります。

温暖化で紅葉の時期もどんどん後ろにずれている昨今ですが、11月中旬以降になると、東京周辺でも紅葉が楽しめる場所が増えてきます。

秋の遠足先としては、八王子の高尾山など人気のようです。私の勤務校でもコロナ前は隔年でその時期に高尾山に行っていました。この時期、「もみじまつり」が開催されます。

高尾山 もみじまつり

鎌倉にもきれいな場所がいろいろあります。

【鎌倉 紅葉 2024】オススメのスポット・名所6選!見頃の時期も紹介

12月は、行事も盛りだくさんです。

赤い羽根募金

12月頃になると、服や帽子に赤い羽根をつけて歩いている人の姿をチラホラ見かけます。

「あれは、なんですか?」と学生から質問されたことがあります。

『赤い羽根共同募金』

そうか、日本人の生活には溶け込んでいるものなので深く考えたことがありませんでしたが、留学生にとっては不思議なものなんだなと思いました。

それから私はわざと赤い羽根を付けて教室に入って行ったりしていました。授業中の雑談のきっかけになります。

クリスマス

クリスマス会を行う学校は多いようです。

日本人の生活、特にファミリー層には欠かせないイベントの一つになっているので、「文化」の紹介にはなるのでしょう。

…が、これは個人的には「どうなの?」と思います

こういう宗教の意味合いが強く残っているもの(もちろん日本人の多くはそんな意味合いなど感じずにやっているわけですが)は、日本語学校ではやるべきではないと思います。

不参加の自由があるならいいと思いますが。(初詣も同じです。参加したい人だけ募って行くのはアリだと思います)

大掃除、年賀状を書く、年越しそば、除夜の鐘…

一連の「年越し」行事も随時紹介していました。

この中で「年賀状を書く」は、勤務校では実際に、その年お世話になった人に向けて学生に書かせていました。

「年賀状を出す」という習慣も近年はだんだん減ってきましたが、一応こういう文化があるんだよ、ということを一度は体験し、知っておくのは良いことだと思います。

年越しそばも、その年の最後の授業の日に、みんなで食べたことがあります。

除夜の鐘は、京都・知恩院のYouTubeを見せたことがあります。有名な、あの、体全体を使った迫力ある叩き方。学生もびっくりしていました。

二回にわたり、日本語学校で紹介することの多い「日本文化」「季節の行事」をまとめてきました。

いかがでしたか?

留学生達が日本に来て、初めて深く関わる日本人は、日本語教師です。

私達には日本語を教えるだけでなく、日本の文化や風習、時にはルールやマナーなど、たくさんのことを伝える役割があると思います。

特に文化についてはできるだけ「楽しさ」を伝えていきたいと思っています。

彼らが日本文化を、ひいては日本という国を、好きになってくれたらいいなと思いながら…。

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