日本語学校の求人情報を見て「この学校に応募しよう」と決めたら、まず何をおいても準備するのは写真付きの履歴書ですね。
他にも職務経歴書とか(日本語教員経験のある人は指導経歴書も)、日本語教師としての資格を示す書類(420時間養成講座の修了証書とか)とか・・・諸々準備する必要があります。
この書類審査を通過することが、採用への最初の関門です。
学歴とか、前職までの経歴とかは変えられません。
でも、「ああ、これは知っていれば気を付けたのに!」というところで落とされたら嫌ですよね?
この記事は、会って落とされるならまだしも、書類の審査だけで落とされるなんて嫌だ!と思う方向けです。
どういう履歴書が評価が低いのか?
かつて日本語学校や専門学校の採用担当者であった筆者が見てきた「落とされやすい」書類をまとめてみました。
お急ぎの方は、ひとまず黄色い蛍光マーカーの箇所だけ拾い読みしてください。
途中ピンクのマーカーもあります。ここには私からの提案等が入っていますので、もしお時間があればどうぞ。
書類の体裁が悪い
驚くことに、こういう応募書類がけっこうな割合で送られてきます。
【紙の場合】
折り目がきれいでない。(非常に見苦しいです)
誤字脱字がある。何か所も目立つ修正液を使っている。(書き直しましょう)
履歴書の字が欄から字がはみ出している。(元気アピール? 雑な人という印象を受けます)
送付状がない、クリアファイル等に入っていない。(社会人の常識として、あった方がいいです)
封筒の宛名が変。(宛名を間違える。また、応募先へ送る場合の書き方などネットを検索すれば分かるのに、それをしていない。非常識なのか、面倒くさがりなのかと思う。また、「応募書類在中」などの一言が添えられていないと、中身が分からないので不親切)
番外編として、送料不足だったツワモノも過去にいました。
論外です!
【メール添付の場合】
文字のフォントとサイズが一定でない。(見直していないのでしょうか)
メールに用件不明なタイトルをつける。(不親切)
上記のような書類は、内容を目にする前の段階で印象が悪いので、かなり損です。
なお、手書きの書類にするかパソコンで作成された書類にするかで迷う場合があるかもしれません。
指示がなければどっちでもいいと思います。
昔は板書が読みやすいか等のチェックで手書きと言っていた学校もありましたが、さすがに今は少ないと思います。
読む側としては、個人的にパソコンの方が読みやすく好印象でしたが・・・それで点数が上がるとか下がるとかは、ないと思います。ただし、ものすごく悪筆の方は、もちろん論外です!
メール添付の場合、こちらから何の指示もしなくても、丁寧な人は書類をPDFにしてきちんと鍵をかけて(パスワードを設定して)送ってきます。
写真の印象が・・・
履歴書の写真は、応募者の第一印象が決まる大切なものです。
気合を入れて撮りましょう。
以前、私がお目にかかったことのある好感のもてない写真とは、以下のようなものです。
スーツを着ていない。(それでも、きちんとした服であればまだいいのですが)
ネクタイがぴしっとしていない。(結び目が重要です)
視線がうつろ。(目は口ほどにものを言います)
怒っているような暗い表情。(怖いです)
にっこにこ!(日本人の履歴書写真としては不自然です。口を閉じた状態での自然なスマイル程度なら好印象。加減が大事です)
自撮り写真。(後ろは白い壁でも、影が映り込んでいるとすぐ分かります。また、修正の疑いもかけられてしまいます。スピード写真でいいので、きちんと証明写真を撮ったほうがいいです)
ほんとに資格ありますよね?
これも何度か見たことのある履歴書なのですが、資格の欄に、
「420時間養成講座修了」とか。
たまに「日本語教師資格取得」とか。
それだけ書いてくる人がいます。
前者はだめとは言いませんが、、、どこの講座を受けたのかな?と思いますし、
後者は養成講座なのか試験なのかすら分かりません。
きっちり書くと信ぴょう性はぐっと上がります。
過剰アピール
学校にもよるのかもしれませんが、一般的に日本語学校が求人情報を出すと、かなりの量の応募書類が送られてきます。
有難いことですが、すべてをしっかり読もうとするので結構時間と労力がかかります。
時折、応募書類として学校から求められていないのに、それはそれは長い自己PR文を送ってくる人がいます。
中には、自分独自の教え方メソッドやら、過去の勤務校で難関大学に合格させた実績やら、長々と書き連ねる人もいます。
それ、逆に損です。
一般的な日本語学校では一つのクラスを何人かの教師で受け持つわけですから、学校の教え方に統一してもらわないと困ります。(少なくとも、何か独自のメソッドを使いたいなら、一緒に同クラスを受けもつ教員同士で情報共有しておく必要があります。)
また、合格実績といっても、たまたま上級クラスを受け持っていた一人に過ぎない可能性も大ですし。
そのへんは日本語学校の採用担当者は冷静に読みます。
自信を持つのは大切なことですけれど、的外れな自慢アピールは大損をしますのでお気をつけください。
ただし、日本語学校ではないところに就職希望の人は、独自メソッド、評価されるかもしれません。
マンツーマン授業とか、企業内講師とか。
堂々と独自メソッドをひっさげて勝負(?)してみたらいいかと思います。
自己PRや志望動機を書くときは・・・
もし前職が他の日本語学校の場合は、なぜそこを辞めてこの学校に来たいと思ったのかを、自分の性格とからめて簡潔にまとめたものは、よくありますが読みやすいと思います。(前校の悪口はNGですよ!)
また、日本語教師以外の前職から転職する場合、その職をやめて日本語教師になろうとしたのはなぜか、前職ではどんな仕事をしていて、日本語教師として前職での経験をどう活かせるか、等を簡潔に、分かりやすく、自分の言葉で述べた文がいいのではないでしょうか。前職の自慢ではなくて、です!
そうした部分の内容にその人らしさ(個性、他の人との違い)というものが出ます。(というか、出すべきです!)
さらに、前職が会社員などの方は、アルバイトであっても「教師」としてクラス授業を行った経験があれば、そのことも入れ込むといいでしょう。日本語学校側としては安心感につながります。
ところで外国での日本語教師経験、ボランティアやプライベートレッスンの講師経験等は一般的にはあまり評価されません。
外国語が堪能なことも同様にあまり評価されません。日本語学校の教室には普通多国籍の学生がいるので、日本語で教えることになりますから。(ほぼほぼ一か国限定で学生を集めている学校もあります。そういう所ならいいかもしれません。)
どこにでも通じそうな履歴書
どこの日本語学校にも同じ履歴書を使いまわしていますよね、というのがバレバレな履歴書は、あまりいい印象はありません。
日本語教師はいろいろな学校を渡り歩く人も多いですし、学校ごとの違いなんて勤めてみないとよく分からないので、そうなりがちなのは理解できます。
でも、読んでいてつまらないです。
一応学校のホームページぐらいは見て、志望動機の欄あたりにその内容を少しでも反映させてくれれば面接官はうれしくなります。
・・・それでも使いまわしをする方、せめて記入日のアップデートはお忘れなく!(パソコン入力で忘れている人、います・・・その場合、「ああ、この人は△月に、この履歴書を使ってどこかの日本語学校を受けたんだな、そして不採用だったんだな。」と思います。)
締め切りギリギリ
締め切りギリギリに送られてくる履歴書も、個人的にはあまり良い印象を持ちませんでした。
ギリギリに届く履歴書で、「推敲に推敲を重ねているうちに遅くなってしまった」という類のものには出合ったことがありません。
もちろん締め切り日に間に合ったものはすべて読みますが、書くのが面倒で後回しにしていたのかな?優先度が低いのかな?という印象になります。
最後に見直しましょう
準備ができた、あとはポストに入れるだけ、メールで送るだけ、、、その前にもう一度だけ見直すことを強くお勧めします。
意外と誤字脱字があったり、長文(志望動機など)の日本語がうっかり破綻していたりすることがあります。
日本語の文が破綻(主語と述語のねじれ、「てにをは」、語彙の誤用等々)している人には、安心して授業を任せられません。一発アウトになってしまいます。
念のためコピー!or 写真!
書類を送付する前に、郵送なら一部コピーして(もしくは写真を撮って)おきましょう。メールの場合も一部プリントアウトしておきましょう。
後日面接の際、面接官は履歴書を見ながら質問をしてきます。
自分自身の履歴書にまさか嘘を書く人はいないでしょうけれど、志望動機や自己PRなどに何を書いたかうっかり忘れてしまうと大変です。面接官からの質問への答えが履歴書の内容とズレてしまうかもしれません。
そんなことを避けるためにも、面接直前に見直せるように一部手元に持っておくと安心です。
おわりに
いかがでしたか。
この記事を読んでくださるのは、これから日本語学校や専門学校に日本語教師として勤めようとしている方だと思います。
ぜひ、社会人としての常識に則った、かつ個性がピリリと光る書類を完成させてください!
そしてぜひ、先方に「会ってみたい」と思わせてください。
今回の就職活動が成功しますように!
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