今日テレビを見ていたら、外国人の方が、自分の好きな日本語を紹介していました。
その中から四つ、印象に残った言葉を紹介します。
※今日見た番組はTBSの『世界くらべてみたら』という番組です。TVerで見逃し配信もやっているようです。
「ぜひ」
この言葉には名詞の「是非」もありますが、今回取り上げられていたのは副詞の「ぜひ」です。
何かをとても強く望むときに使う表現で、たとえば、
「いつかぜひ、富士山に登りたいです」
「こんどぜひ、我が家に遊びにきてください」
のように使います。
今日、テレビでこの言葉を好きな日本語にあげた人は、このような便利な言葉が自分の母語(スペイン語)にはないと言っていました。
便利?
いったい何が便利なんだろう?と思ったら・・・こんな状況で使いたいそうです。
取引先の会社の人「こんどぜひ飲みに行きましょう」
自分「ええ、ぜひ」
・・・YESもNOも言わず、「忙しくて時間がない」などの嘘も言う必要がなく、相手を傷つけることなく「流せる」便利な言葉だと感じるそうです。
なるほど~。
確かに言われてみれば、日本人は別に「強く望んで」いなくてもこの言葉、使っていますね。
「空気を読む」日本人の得意技です。
本音ではあまりそう思っていなくても、営業スマイルとセットでこの言葉を言うことで、その場の雰囲気は壊れずにうまく流れていきます。
会社勤めが長く日本に精通した方のようでしたから、こういう使い方にも慣れているのでしょうね。
なお、上の会話は取引先の人も本気で飲みに行きたい!と思っていないことも多いので、「ぜひ」と言われても「じゃあ、何月何日にします?」とは、あまりならないでしょう。
その場のコミュニケーションというか、もはやエチケットのような会話といってもいいかもしれません。
お互いに、相手のことを嫌だと思っていませんよ、大事にしていますよ、という気持ちを表現するための、一連の流れだと思います!
「勘弁してよ」
この言葉は、日本人男性と結婚している女性があげていました。
会話の中で「勘弁してよ」というフレーズを使うと、嫌だ、という気持ちを伝えつつ、ストレートに言うよりもソフトに相手に伝わる、というようなことを言っていました。
なるほど、これも空気を読む日本人らしい言い方かもしれません。
私も家族や友人に言うことがあります。表情や声で、「強いNO」にもできるし、「すごく嫌なわけではないけれど、なんでよ~もう!しょうがないなあ!」・・・みたいな雰囲気にもできるので、便利な表現だなと改めて思いました。
ちなみにこの女性は、夫から一日に5,6回この言葉を聞かされるそうです。
「平穏」
日本人の戦争に対する意識を学んでいるというリトアニアの若い男性が挙げた言葉です。
「平穏な生活を選んだ」、という言葉をアニメで知って、この言葉が好きになったそうです。
そして自分も本当に平穏な生活をしたいと思っていると言っていました。
・・・戦争や紛争が絶えない世の中ですから、平穏な生活を手に入れることは、本当はとても難しいことだと思います。日本だって八十年前は戦争をしていたわけですが、幸せなことに、今の時代、戦争を知らない世代の方が圧倒的に多い国です。
日本人は平和ボケしているという人がいますが、平和ボケ、大いにけっこうなことだと思いませんか?
世界中みんなで「平和ボケ」になれればいいのだけれど。・・・なんて思いながらこの男性の言葉を聞いていました。
「木漏れ日」
「木漏れ日」という言葉をあげている人もいました。
この言葉が日本人独特の感性を表すものとして取り上げられることがあるのは知っていましたが、番組を見て、改めて響きの良い美しい言葉だなと思いました。
これを英語で表現しようとすると「木々の葉っぱの間を通って差してくる日光」のような説明をしなければならないようです。
これでは日本人にはピンときませんし、面倒ですよね。
ただこの「木漏れ日」という言葉、日本人でも好きな人が多くよく使う言葉なので、もしこれを俳句に入れてしまうと、夏井先生に「凡人」として痛烈に批判されてしまいます。(笑)
※夏井先生:夏井いつき先生。「プレバト」などのテレビ番組に出演し、現代における俳句ブームを巻き起こすきっかけになった俳人です。
日本人とは違う視点で日本語を見る…
以上四つの言葉が印象に残りました。
他のことをしながら家族が見ていたテレビをちょこちょこ盗み見していただけなので、もっとおもしろい言葉が紹介されていたのかもしれませんが。
外国の方は日本語を日本人とは違う視点で捉えています。彼らから指摘されて振り返る日本語って、面白いなあと思います。
今度、自分が関わっている学習者の皆さんにも、好きな日本語を聞いてみたいと思いました。
もしおもしろい言葉が出てきたら、別記事でご紹介しようと思います。
コメント