長年日本語教師をしていると、いろいろな先生に出会います。
いろいろな先生の話を聞きます。
ここでは、一日本語教師である私が見聞きした、
「残念すぎる日本語教師」の実例をあげたいと思います。
こんな日本語教師はダメでしょう!!と思ったお話です。言葉を変えれば、日本語教師に向いていない人の特徴にもなりそうです。
★★★ 実際に会った人、聞いた人の話をもとにしていますが、「それは偏見だ!」と思われる内容も入っているかもしれません。ご容赦ください。 ★★★
なお、後編は、こちらです。
ひたすら楽しい授業をする教師
え? 楽しい授業の何がいけないの? …と思われるかもしれませんが、
問題なのは、ただただ楽しいだけの授業をする先生です。
おしゃべりやゲーム、雑談で大盛り上がり。
ところが授業が終わった後、「あ~楽しかった!」…だけで、
「あれ?今日って何を勉強したんだっけ?」
と思うようでは、困りますよね。
教える中身が薄いのにひたすら楽しいだけの授業では、
学生が何のために高い学費を払って授業を受けているのか分かりません。
・・・昔、Tという先生と同じクラスを担当しました。T先生の翌日の授業を私が担当していたのですが、ひどかったです。
前日に引き継ぎの連絡をもらうと、予定の半分も終わっていないこともありました。それを私が大急ぎで詰め込むハメになります(そして私への学生からの評判は、下がる(泣)。)しかもT先生が教えたという内容も、ろくに学生は理解していないという・・・。
でも学生の間でT先生はなかなかの人気でした。「雑談がおもしろい」という理由で。いくら話がおもしろくても、これではダメでしょ!と思ったものです。この仕事をなめすぎです。
もちろん逆もダメです。ただただマジメに詰め込むだけの、遊びの全くない授業。
これでは学生もついてきてくれません。
要は、バランスとメリハリですね。
濃い授業を展開し、その日勉強するべきことはしっかりと理解させる。その上で力を抜けるポイントを所々に作り、お楽しみ要素を挟む。
そんな授業ができる教師は、素晴らしいと思います。私もまだまだです。
秘密主義のベテラン教師
日本語学校に限らず、学校の教師には少なからず「秘密主義者」がいます。
秘密主義教師は、自分の指導方法を他の教師に公開することを避けたがります。
うまくいっている授業でも、その秘訣を教えようとしません。
他の教師と情報交換をしない、干渉もしあわない、いわゆる「学級王国」の出来上がりです。
経験の浅い教師が授業の方法に悩んでいても、相談に乗ったりアドバイスをしたりしないベテラン教師・・・。
中には、教えないくせに人のダメ出しはする、なんていう「とんでも」教師までいます。
…たしかに「自分で自分の授業を振り返って考えてみる」ということは重要です。
すべてを人に頼る姿勢ではいけないと思います。
が、それだけでは人は成長できません。人に教えてもらうことも大事ですよね。
お互いに教え、教えられることで教師の力量も高め合えるのだと思います。
秘密主義者は自分もそれ以上伸びず、後輩を伸ばすこともできません。
結果、学生にも利がありません。(←ここ重要!)
向上心がない教師
勉強しない、新しいことを取り入れようとしない教師もいます。
昔の自分の方法(「パワポとか苦手なの」と言っていまだに大量の紙を消費し続ける。少しネットで検索すれば出てくるパソコンの操作方法もすぐ人に聞く。プリントに出てくる例文も古いまま、手直ししない。etc.)に固執し、そこでストップしてしまっている教師。
「古いことが良い」わけでは、決してないのに。
より良いことがあるならそれを学んで、身に付ける努力をすべきだと思います。
(学生には勉強することを求めるのですから、私達教師も勉強しないと…説得力がありません!)
文型や語彙の使い分け。デジタル教材。効果的な授業方法。新しい文化。日本の歴史。経済・社会事情。
…どこまで勉強すればOKという線引きはありません。
ということで、あまり勉強しない先生はどうかと思います。
(面倒なことが嫌いな性分の私自身にも、日々そう言い聞かせています。)
「私は上級クラス向きです」、と高らかに宣言する教師
・・・はあ?
と、思います。
こういう事を言っている人は、たぶん自分が話したいこと、経験してきたことを学生に披露したい先生。学生より、自分が話したがるタイプです。
自分の日本語が通じて、話したいことを自由に話せる環境を好む・・・
学生が本当に聞きたいことを察知し、話す先生ではないと思います。(たぶん)
語彙や文型のコントロールもおそらく苦手なので、初級を任せるのは怖いです。
(語彙や文型のコントロールをすることが面倒なのか、できないのか、は分かりませんが)
・・・でも日本語教師って、初級ができてナンボだと思います!
初級がしっかりできる人でないと、上級だって実はできないと思います。
※逆に初級ばかりやりたがる先生もどうかと思いますが。日本語教師として成長がストップしてしまいます。全レベルの授業ができるのが理想です。
井戸端会議で言葉の正誤を決めてしまう教師
授業の合間の休み時間、職員室に戻ってきたA先生。
コーヒーを飲みながらB先生に。
A「ねえねえ、『○○は~~~だ』って日本語、どう?正しい?」
B「どうだろう。なんか変な感じだね」
A「そうだよね、なんか不自然だよね」
B「うん。日本人はあんまり言わないよね」
A「じゃあ、間違いって言っちゃっていいかな」
B「いいんじゃない?」
A「OK!ありがと!」
チャイムがなり、A先生は笑顔で教室へ戻っていきました。
えええっ!?
せめて辞書ぐらいひこうよ~~~。他の先生にも聞いてみようよ~~~。どうして不自然なのか少し考えてみようよ~~~。
と思った、十数年前の某日本語学校職員室で起きた実話でした。
学生に「どうして間違いですか?」と質問されたらどう答えるのだろう?「ダメなものはダメです。以上!」・・・それじゃあ学生も納得できないでしょう。
言語ですから、そういう場合もありますが、外国語として学ぶ学生は、なぜダメなのか知りたがります。ですから教師はもう少し真剣に考えておくべきだと思います。
まだまだあります・・・
長くなるので、後編へ続く。
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