日本語教師として日本語学校に勤める場合、専任講師か非常勤講師の二択となります。
でもその二つって、具体的にどう違うの?
で、結局、どっちがいいの?
この記事は、そんな疑問を持つ方向けの記事です。
簡単に言ってしまうと、二つの違いは・・・
専任講師:正社員。「教室で日本語を教える」以外にも、学校運営全体に関わる仕事が多数。お給料は授業がない期間でも定額支給。社会保険に加入。
非常勤講師:パート。「教室で日本語を教える」が中心。お給料は時給。授業がなければ無給。
どっちがいいのかは・・・
その人の好みとライフスタイル次第。が、一度は専任を経験するべき!(力説!)
だと思います。
専任講師
専任講師の業務内容
専任講師は業務内容が多いです。こちらの記事のように。
規模が小さい学校では、「何でも屋さん」なところもあります。
教員のはずなのに、気づけば何でもできる事務のエキスパートみたいになっちゃう人も。
入管(入国管理局)の「申請等取次者」の資格を上司に取得するよう言われる(=入管に行って、学生の在留資格関連の申請ができる)人もいます。
なるのは簡単なのですが…なるということは、つまり、そういう仕事もさせられるということです。
とにかく専任の仕事の幅はとても広いです。
専任講師の、学生との関わり
専任講師は、学生と共に過ごす時間が長いので、彼らとの関わりが良くも悪くも深くなります。
話をしていると、時にはここぞとばかり不満をぶつけたり、変な理屈で学校や教師を責めてくる学生もいます。
学費のこと、出席率のこと、試験のこと、資格外活動(アルバイト)のこと、先生の授業方法のこと、クラスのこと・・・加えて、なぜか日本社会への不満、、、
モンスターペアレンツはいませんが、
学生自身がモンスター化する場合もあるのです。
(もちろん少数派ですし、教師に対して本気で攻撃してくるわけではありませんが)
こちらの記事『【日本語学校】「この学校、悪い学校ね!」by留学生』や、
こちらの記事『日本語学校あるある?留学生の「みんな!」劇場』、
そしてこちらの記事『【日本語学校】留学生の口癖あるある第二弾「大丈夫!」劇場』で、
学生のびっくりするような言い分、迷言をいろいろ集めましたので、どうぞあわせてお読みください!
まあ、本音を話してくれるというのは信頼されている証とも言えます。
学生は「自分を理解してほしい!」という気持ちで訴えてくるのでしょう・・・。
その代わり、専任をしていると「楽しい部分」も増幅されますよ!
遠足などの行事(非常勤講師は参加しないことが多いです)に一緒に行くと、
ふだんの授業では見えない顔を見せてくれたりします。
すごくしっかりしていたり、よく気配りできたり。
あれ?この人ってこんな面白い人だったの?と思うことも。
また、個人面談でその人の内面が深く窺えることもあります。
そんな深いお付き合いができるのは専任ならでは。
卒業時の感動もまたひとしおです。
…先生の≪あるある≫ですが、面倒をかけられて本当に大変だった学生のことほど、後でなぜか思い出すことも多いものです…ちょっと癪に障りますが(笑)
※『やる気のない日本語学校留学生に、私がやってみたこと』の記事に出てくるRさんのように!
専任講師のお給料
当然のことながら正社員ですからお給料面では安定します。
授業のない夏休みもお給料は発生します。
ボーナスや手当もあります(ただしボーナスは出ないところも)。
学校の規模にもよるかもしれませんが、日本語学校(一般的な告示校)であれば
300~400万円前後の年収の方が多いのではないでしょうか。
(「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査結果概要」参照)
求人情報を見ての私の印象では、最近少しずつ提示されるお給料もアップしてきているように感じますが・・・どうでしょう。
主任や校長になればもう少しアップするでしょう。
そして大学で教えると(修士以上が求められますが)さらにアップするでしょうし、
今は副業でオンライン講師をされている方もいますね。
・・・日本語教師は決して高給取りの仕事ではありませんし、
むしろ仕事の内容を考えれば額が低すぎると思うこともありますが、
それなりに生活はできるのではないでしょうか?
私の知人でも、結婚し、ご家族を持っている専任講師の方、普通にいらっしゃいます。
(もちろん共働きの方がいいとは思いますけど)
というか・・・
まじめに働いているのに結婚生活が維持できないようなお給料しかくれない学校は、即刻、やめましょう!
と言いたいです・・・。
国家資格化で今後どうなるかに注目です!
専任講師を一度やっておくべきだと思う理由
専任は、学校経営に関することも含めて、いろんな問題に対処することになります。
事務課が担当する仕事もありますが、専任であれば事務課からも日々さまざまなことが情報として耳に入ってきます。
これを一通り経験しておくと、学生や学校の見方が複眼的になります。
非常勤講師では見えないことが見えてきます。
いずれ何かの事情で非常勤講師に戻ることがあっても、
この複眼を手に入れれば日本語学校全体のことがよく理解できるので、
専任の人とも良い関係が維持しやすいと思います。
結果、仕事もスムーズに進めることができるように思います。
ですから、できればどこかのタイミングで是非、
一度は専任講師を経験されることを個人的におすすめします。
非常勤講師
非常勤講師の業務内容
教室で、担当する時間に、割り当てられた内容を教える。
基本的には、それが全てです。
もちろん宿題やテストのチェック等、授業に付随する業務まで含まれる学校が多いですが、
それは契約時に確認して納得した上で引き受けたいものです。
※もしよければ、コチラの記事『【日本語教師】学校説明会・見学会でしておきたい8つの質問』もご覧ください!
また、担任を任される場合もありますが、その場合は別途手当がもらえる場合も多いです。
非常勤講師の、学生との関わり方
おそらく最初は非常勤講師としてキャリアをスタートさせる人が多いと思います。
それは意味のあることです。
最初は本当に授業準備に時間がかかって大変ですから。
まずは非常勤講師で場数を踏んで、授業に慣れて、次のステップとして専任講師になった方が良い仕事ができると思います。
ただ、非常勤講師ではどうしても「教室の中だけで教える」ことが中心となるため、
学生のことも一面しか見えないと思います。
性格や内面・・・普段の授業では見せない顔が学生にはあると思いますが、
それが見えてこないと、関わり方もどうしても表面的なものになりがちです。
それが気楽でいいのよ! 私は日本語の授業に集中したいんだから!
という先生ももちろんいると思います。
そういう先生には、非常勤講師、とてもいいと思います。
いくつかの学校で掛け持ちすることで収入を上げたり、気分転換したりする先生もいらっしゃいます。
非常勤講師のお給料
非常勤講師はコマ数計算になります。
「時給」といわれるものにコマ数をかけた額が支払われます。
最近の首都圏の求人情報を見ていると、
コマ給1900~2000円前後~が多いようです。
未経験だともう少し低い額からスタートの学校もあります。
また、たまに「お!高い!」と思ってよくよく見ると、1コマあたりの給料ではなく本当の時給(つまり60分での額)であったり、、、等、何かカラクリがあることもありますので、要注意です!
※詳しくは、こちら『日本語学校【非常勤講師】の待遇:求人情報の見方の注意点!』をどうぞ!
もし、コマ給2000円で午前中の4コマ担当であれば、2000×4=8000円です。
従来はこれだけでした。
ですが、最近の人手不足や社会全体の時代の流れを感じているのか、
ようやく、授業以外の仕事、例えば授業後に残ってテストの採点をするとか・・・にも
支払いをしてくれる学校がちらほら出てきたようです。
朗報ですね!
といっても授業のコマ給よりは低く設定されている場合もあるようですが、
授業以外の仕事には一切支払いをしないことが当然だった業界としては、
少しだけ前進したかなと思います。
また、「授業外のことは基本的に全て専任がやります」という求人も見たことがあります。
そういう学校は、授業が終わったらすぐに帰宅できるのだと思います(たぶん)。
こういった学校の登場に触発されて(やばい!と思って)、
ほかの学校もどんどん追従してくれればいいなと思います。
さいごに
以上を読んでいただいた上で、
専任、非常勤、どちらがいいと思われたでしょうか?
私自身は、非常勤講師も専任講師も、業務委託もボランティアも・・・
その時々でいろいろな形態で働いてきました。
たくさんの職場を経験してきたことで、より自分に合うのはどういう働き方か、というのを考えることができました。
人によっては本人の人生のステージによって変わってくることもあるなと実感しました。
例えばバリバリ専任で働きたい!とか、子育て中は子どもが学校にいる間だけ働きたい!とか、夫の扶養でいたいから非常勤で!とか。
経験しないと分からないことだらけですね・・・
人生は短いです。あっという間に私はアラフィフです(ゾッ!)。
でも日本語教師には60代からチャレンジする方もいらっしゃいますし、
私もこれからもより良い働き方を探しながら、まだまだ現役でいきたいと思っています。
最後までお読みいただいてありがとうございました!
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