以前、日本語授業で使える活動ネタを紹介しましたが、その第2弾です。
すべて楽しいだけでなく、学生のためにもなる活動です。
単純な活動も多いですが、注意点なども詳しく記しますのでぜひ最後までお読みください。
ではさっそく!
伝言ゲーム
日本語の文を正確に聞き取りそれを次の人にしっかり伝えるというおなじみのゲームですが、レベルやクラスの目的によってやり方を変えるのもいいと思います。
文を一字一句そのまま覚え、それを次の人に伝えていくバージョン
これは一般的な日本語学校の初級や中級クラスでよくやると思います。
学校で人気のある先生や学生の名前を入れ、面白い内容(あり得ない突拍子もない設定とか、「恋」バナとか)にすると学生は喜びます。
文を一字一句そのまま覚えて伝えるのでなく、内容を理解して、その内容を自分の言葉で伝えていくバージョン
これは進学や就職を控えたクラスで行うのがお勧めです。
実際に進学先や就職先で必要なスキルでもあるので、本当に伝言としてありそうな設定で文を準備しておくといいでしょう。
私はその中にあえて一般的な名字の日本人名(大学のクラスメートや、就職先の上司の名前として)も入れるようにします。ゲームと言いつつ、本番さながらの練習にもなります。
しりとり
これもおなじみのゲームです。
これはどのぐらい時間が使えるかと、学生のその時の雰囲気で方法を変えます。
一般的な、ごく普通のしりとり
これをお読みの先生方には説明するまでもないかと思いますが、授業で初めてやるときは、意外ときちんとルールを説明しないと理解できない学生もいます。
日本語の言葉の「拍」をきちんと理解していないと、例えば「こんしゅう」➡「しゅうまつ」のように「う」ではなく「しゅう」から始まる言葉にしてしまったりします。
また、「ん」で終わる言葉は使えないということは、始める前に例を示しておいた方がいいと思います。学生はけっこう「ん」で終わる言葉を言いますが、次の人がそれに気づかずに続けてしまう場合があります。例えば「としょかん」➡「かんじ」のように。
なお学生は動詞やイ形容詞を出してくることがありますが、これは使わないルールにした方が(一般的にしりとりは名詞で進みますよね)、結果的に長く続いていいと思います。
絵で続けるしりとり
言葉を言わずに絵を描いて続けていくしりとりです。
ホワイトボードでみんなが見える形にしてもいいですし、一人一枚ずつ紙を配り、前の人の絵を次の人だけが見て次の絵を描き、次の人に見せていく形でもいいでしょう。
無言で、ひたすら絵を順番に描いていくのですが、上手な人・味のある絵の人、いろいろで盛り上がります。そしてたいていどこかで誰かが間違えているので、答え合わせがとても楽しい時間になります。
早口言葉
これまたおなじみの活動ですが。
普通に早口言葉をみんなで言うだけでも盛り上がりますが、日本語の発音練習を兼ねて…
早口言葉の文を見ながら、子音を取り除いて母音だけで言う
ということも私は時々やります。
どういうことかというと、例えば
『東京特許許可局』なら
おうおうおっおおあおう
『隣の客はよく柿食う客だ』なら
おあいおあうあおうあいううあうあ
という具合です。
母音だけハキハキと、拍で分かりやすく言ってもらいます。最初はゆっくり、だんだん速く。
これ、かなり難しいです!学生はなかなかできず、笑いだすことが多いです。が、これをやることによって日本語における母音や拍の大切さを認識してもらう効果もあります。
語彙並べ
教師がテーマを指定し、それに合う言葉を学生が一人一つずつ挙げていく。ただしそれまでに他の人から出た言葉を全部言ってから、自分の言葉を言う
これは他の人の言葉を「聞いて順番に覚える」、という作業があるので、単純ないわゆる「山手線ゲーム」と比べても非常に集中力が必要なゲームです。
例えば教師が「今、この教室にあるもの」というテーマを指定したとします。すると学生は…
机!
机、ホワイトボード!
机、ホワイトボード、シャープペン!
机、ホワイトボード、シャープペン、○○さん…は「いる」だからダメ? じゃ、教科書!
のように続けていきます。
みんな頑張ってくれるのでどんどん長くなっていきます。
この活動は最後にちょっと時間が余った時などにやり、「チャイムがなった時の番の人が負け」というルールにすると、さらに一生懸命にやってくれます(笑)
教師が指定するテーマは、クラスのレベルによって決めます。
なお初級であまり難しいテーマにするとあっという間に終わってしまいますのでご注意を。たとえば「果物の名前」よりは「食べ物の名前」などのようなゆるい縛りにしておく方が長く続きます。
またあまり大人数のクラスで全員でやるのも難しいと思います。これは10人以内の少人数クラスでやるのがおススメです。
文リレー
一人一文ずつ作って回し、みんなで一つの文章を作成する活動。教師が文章のテーマを指定し、冒頭の一文を発表する。それに学習者が文を続けていく
まず教師が文章のテーマを発表し、そのテーマで一つの文章をみんなで作ってもらうことを説明します。その上で冒頭の一文だけは教師が作り、最初の学生がそれに続く文を一つ考えて言い、次の学生もそれに続く文を考えて・・・ということを繰り返していきます。
頃合いを見て、「そろそろまとめに入りましょう」と教師が指示を出したら、ラストに向かって収束させるような文を考えてつないでいき、教師の「ラスト一周!」で終結させます。
学生によっておもしろい発想が出てきて想定外の方向へ進むこともあり、楽しい活動です。もちろん、尻切れトンボ的なラストになることもありますが、それはそれで面白いです。
口頭でやる方がスピード感があってその場では盛り上がるのですが、グループ内で紙に書かせて回していく活動にしたこともあります。その場合は最後に紙を集めて教師が確認し、次の時間にいろんな賞をあげました。(一番日本語の間違いが少なかったで賞、一番テーマに沿った話だったで賞、一番笑う話だったで賞、など)。
まとめ
いかがでしたか?
今回ご紹介したものは、使える時間とクラスのレベルによってアレンジすればいろいろなやり方ができる活動だと思います。
参考にしていただければと思います。
最後に・・・
もしかしたら学生の反応がイマイチのこともあるかもしれませんが、それはそのクラスが元々もつ雰囲気によるところもあるでしょうから、気にしすぎないようにしましょう。
ただし!
教師が最初から「うまくいくかな・・・」などと緊張したりするのはもってのほかです!この活動は楽しい!そしてためになる!と自分に言い聞かせ(笑)、堂々と、自信を持って取り組んでいただきたいと思います!
本記事は、活動ネタの第二弾です。第一弾は、こちらの記事「【日本語授業】簡単にできるおススメ活動ネタ~意外と盛り上がります」です!
盛り上がるゲーム・活動の第3弾も書きましたので、よろしければこちらの記事もどうぞ!
日本語授業の中に気軽に取り込める「日本文化のミニ体験」についてはこちらの記事にまとめました。
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