生成AIと日本語教師~仕事を奪われずに、使いこなすために

日本語教師をめざす方

先日、国立情報学研究所(NII)による「大学等におけるオンライン教育とデジタル改革に関するサイバーシンポジウム」をオンライン視聴しました。

話題はいくつかありましたが、その中で最も日本語教育と関係がありそうだったのは、京都市内の高校教諭から「生成AIの教育現場での活用事例」の一つとして紹介された「高等学校の英作文指導におけるChatGPTの利用事例と課題」という報告でした。

ああ、『東進』とかでもAIを使って英作文添削やってるって聞くしな~・・・

と思い、興味を持ちました。

これは英作文の話ですが、もちろん日本語作文の指導にも遠くない将来、応用できるのではないかと思います。

➡➡➡ さっそくちょっとやってみました。日本語の作文を添削(修正)してみたので、一例を紹介します。こちらの記事『日本語教育と生成AI:ChatGPTとClaudeによる作文指導』をどうぞ。

教師による従来の英作文指導における「課題」が何点かあげられていましたが、日本語学校の日本語作文指導と共通しているなと思ったのは、

 フィードバックに時間がかかる(次の授業以降になってしまう)

 より高い評価を得るための改善案までを詳細にフィードバックすることは困難

といった課題点でした。

は、高校教諭も忙しいでしょうけれど、日本語教師も忙しいです。

日々いろんな仕事が追いかけてきます。

フィードバックは早ければ早いほどいいと思いますが、教師一人で何人もの学生の作文の添削をするわけですから、時間がかかります。

非常勤講師も、学校によっては専任講師も、勤務時間外に添削の時間を取らざるを得ない、ということが起こったりします。(こうしてブラック化するわけです…)

は、まず最低限の文法や語彙のミスについてのフィードバックをしたうえで、次の段階として、どうやったらさらに洗練された文章にすることができるか、という視点からのフィードバックです。

もちろん、これができれば理想です。

が、なにしろ時間がありません。

日本語学校の教師は学生が書いたもののミスを直すだけで精一杯、ということが多いのではないでしょうか。

手間がかかり過ぎます・・・。

この報告をした高校では、上の課題を解決するために生成AIを利用してみたそうです。

プロンプト(いわゆる呪文)は、

まず、文法や語彙、構造的な明らかな誤りを修正する。
次に、学生が書いた内容をいかし、さらに洗練された文章に修正する。

という二段階の設定で入力したとのことです。

生徒はそのフィードバックを見て、

については全て修正
についてはただ鵜呑みにするのではなく、各自が考えて取捨選択をする。

という流れでリライトを行ったということでした。

・・・なるほど。

これなら、一人ひとりの書いた内容に沿った詳細なフィードバックが、すぐにできるわけです。

作文の添削ってものすごく時間がかかるから本当に大変だったけど、これは素晴らしい!

夢の道具じゃないか~さすが生成AI!

と、思ってしまいます。

が!!!

これ、使いこなせれば本当に教師の負担は格段に減るはずです。

でも、AIにそこまで信頼度の高いフィードバックを作らせるためには、それなりに教師も頑張らなければならないと思います。

特に二段階目の洗練された文章にするためのプロンプト。

各学生のレベルに合う「洗練」でなければならないので、それをきちんと考慮したプロンプトを工夫しなければなりません。

AIはときどき、ビックリするようなとんでもない文を生成してくることがありますから・・・・・

これ、結構大変かもしれません。。。

でも、最初にtrial and errorを繰り返して一度良いプロンプトを作ることができれば、あとは微調整で良いでしょうし(たぶん)、だいぶ楽になるのかな、と思います。

AIは夢の道具ではありますが、それを使いこなすのは人間です。

勉強もAIでできるからいずれ教師はいらなくなる、なんて言う人もいますが、

人間がプロンプトで適切な指示を出すことが最も大事だと思います。

しかも、ChatGPTやcopilotは、英語に比べて日本語はまだあまり得意ではないように思います(たぶん)。

でも、この日進月歩の時代です。

きっとまもなく日本語も英語並みに上手になるはずです!

その時になって慌てないよう、

日本語教師はAIに仕事を奪われるのではなく、

AIをうまくアシスタントとして使えるよう

準備しておきたいものです。

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