ビジネスマナー(外国人向け)の授業で教えていたけど…モヤモヤしていたこと

現役日本語教師の方

以前、某学校留学生クラスで「ビジネスマナー」の授業を担当したことがあります。

当時はそれほど深く考えず、

身だしなみとか、お辞儀の仕方とか、敬語の使い方とか、電話の受け答えとか・・・

そういうことを教科書にそって教えていました。

が!

やりながら実は内心モヤモヤすることがありました。

マナーってそもそも何なんでしょう???

先日NHK『あさイチ』の放送を何気なく見ていた時のことです。

マナー講師の方などが、

したり顔のマナー講師
したり顔のマナー講師

「了解しました」や「なるほど」というのは、失礼な言葉遣いですよ。

なんて、したり顔で言うことがありますが、

実は「了解」も「なるほど」も言葉自体は何ら失礼なものではない、と、

出演されていた辞書編纂者の方が言っていました。

その方によれば、

「了解」や「なるほど」をマズい言い方(態度)で言った人たちがいて

その言い方と混同して言葉の方までマズい言葉にされてしまったんじゃないか、とのこと。

なるほど!(笑)

と思いました。

私自身は、「了解」も「なるほど」も全然失礼な言葉には感じないのですが、

言われて失礼だと感じる人がいる以上(その理由は分からなくても)、

使わない方が無難なんだろうと思っていました。

で、「了解しました」ではなく「承知しました」と言いましょう!なんて留学生にも教えた記憶があります。

が!

やっぱり変なマナー(?)だったんだ!と思いました。

結局言い方次第なのでしょう。

また、留学生には食事のマナーとして、

食前食後の挨拶とか、お茶碗やお椀は手に持って食べるとか、お箸を食べ物に突き刺さないとか、、、

そういうことも教えていました。

が、中には「?」と思うような食事マナー(とされるもの)もあって・・・。

ごく最近YAHOOニュースを見ていたら流れてきた記事なのですが、

ホリエモン(堀江貴文)氏が、

お味噌汁のしじみを食べるのはマナー違反だなんて、

クソみたいなマナーの押しつけ」だ、と

バサッと斬りすてていました。

痛快!

私もしじみはいただきますし、この謎マナーは聞いたことがありましたが、留学生には伝えていません。

(個人的には、しじみも生きていたわけですから、

その命は大切にいただかないと罰が当たる・・・という思いもあります。)

どうしてしじみを食べるとマナー違反なんでしょうか?

たとえば、

昔から使われてきた言葉でも「片手落ち」とか「めくら」なんて表現を使用しなくなったのはもっともだと思います。

それで傷つく人、嫌な思いをする人がいることは誰でも容易に想像がつきますから。

また、「ブラック」と言う言葉も便利だからつい使ってしまいますが、

本来は使うべきではないと思います。

(まあこれらはマナーというより差別用語になるから、ですが)

このように誰かに不快な思いをさせる可能性のある言葉や行為は

使うべきではない、やめるべきだ、と思います。

「マナー」の基準は、そこにあると思います。

でも、「なるほど」とか「了解」と言われて本当に不快に思いますかね?

もちろん会話中全然心あらずで適当な相づちのように言われたらそりゃあ腹も立ちますが、

な~るほどです~~

それはその態度にであって言葉にではないはず。

しじみに至っては謎過ぎます。

誰に対して、どう失礼なんでしょう。誰が嫌な思いをするのでしょう。

かつて、周囲の人が目を覆いたくなるような方法でしじみの身を貝からはがしていた人でもいたのでしょうか・・・?

メールにもマナーがあると言われます。

私も一応それに則った書き方をしようと気を付けていますが、

でも考えてみればメールってそもそもここ三十年ぐらいの間に一般に普及したばかりの非常に新しいモノです。

そのマナーをいったいいつ、だれが決めたんでしょう

勝手に決めないでいただきたい!・・・と思ったりもします。

・・・ついでにノックの回数も個人的には謎です。

ビジネスマナーの授業では「正しい」とされるノックの回数も教えましたが、、、

これも「なるほど」「了解」と同様、回数より、態度やノックの仕方の方が大事だと思います・・・。

力強くドンドンドン!とノックされたら、それは威圧的で不愉快ですから。

もし今後「ビジネスマナー」の授業を担当することがあるなら、、、

知識としては「正しい」とされるマナーを伝えはします。

マナー関連のテストを受けるなら「正解」の知識は必要ですから。

でも、「形」よりもまず「心」だよ、大事なのは「態度」だよ、

ということをこれまでよりさらにさらに、うんと強調して教えようと思います。

ビジネス日本語については、こちらの記事『ビジネス日本語なら段階別のこのテキスト3冊!』をどうぞ!


コメント

タイトルとURLをコピーしました