留学生って、ヘンな(妙な、不自然な形の)文字を書くこと、ありますよね。
それは留学生が普段よく目にしている文字、つまり活字やスマホ・パソコンの文字に原因があると思うのですが、
あまりそこに注意を向けない先生がいらっしゃるように思います。
皆さんはプリント教材やスライドを作るとき、どんなフォントを使っていますか?
ヘンな文字いろいろ
妙なひらがな。
ひらがなだと、たとえば「きこさふり」。
「き」は、3画目と4画目は、フォントによってはつながっていますよね。でも日本人は手で書くとき、ふつう離して書きます。
「さ」の2画目と3画目も。
「こ」は、2画目をこんなに上から始めません。
「ふ」もフォントによってずいぶん手書きの字とは違います。特にゴシック体や明朝体の2~4画目。
「り」はよく一筆書きになっているフォントを見ますが、手書きだとふつう、2画で書きます。
また、「で」などの濁点をつける位置も、手書きとは微妙に違うと思います。
でも留学生には、こういう不自然な書き方をする人がかなりいます。
最初にひらがなを習う先生がどのように教えたかにもよるのかもしれませんけれど、
一番の原因は、彼らが本やスマホ、パソコンに出てくる文字に普段から親しんでいることだと思います。
そこに出てきた字をその通りにまねて書くので、日本人の手書きとはちょっと違う字になってしまうんですよね。
妙な漢字。
漢字もしかりです。
「子」。「比」。「心」。「家」。「令」。「道」。
「子」は手書きだとこんなに上から下までまっすぐの線じゃないですよね。
「比」のゴシック体を見た人は、たぶん4画ではなく5画で書くと思います。2画目を、下のはねるところで分けて。
「心」や「家」にいたっては、もし手書きでゴシック体のような字に出会ったら違和感しかありませんが、留学生が手書きする文の中でよくお目にかかります。
特に「家」なんて、最後の二画、なんであんな不自然なところから出てるんだ!?と思います。
(個人的に、この「家」という漢字が一番気になります・・・)
「令」は令和になってからよく見かけますが、最後を上から下への一本線で書く人はまずいないと思います。
「道」のしんにょうの形も、妙ですね。くにゃっと曲がるところが一か所少なくて、活字同様ストンと上から下に下げて書く留学生がいます。
私達はもちろん活字ならなんとも思わないですし手書きならそんな風に書かないのですが、それは日本人だからです。
まだまだ字を手で書く機会も多い時代ですから、留学生のこれ、直した方がいいと思います。
使用するフォント
文字のフォントはいろいろありますが、日本語教師の皆さんは学生に配布するプリント類を作成する際、どんなフォントを使いますか?
私は、明朝体やゴシック体ではなく、できる限り「UDデジタル教科書体」を使うようにしています。
これだと、手書きに近い文字になります。
明朝体にある「うろこ」(「一」の漢字を書いた時に、横棒の右上に出る三角形)がありません。
ゴシック体のように「はらい」や「はね」があまりない、均一な太さの不自然な感じもありません。
UDデジタル教科書体の「UD」というのは、ユニバーサルデザインのことです。
外国人日本語学習者だけでなく、日本人の中にも、読み書きに苦労している人はいます。
読み書きの学習障害であるディクレスシアの人とか、視力の弱い人とか。
そういう人も含めて、いろんな人にとって読みやすい字になっているということです。
日本人の子供たちが学校で使う教科書も、小学校では教科書体が使われ、中学校以降は明朝体になっていたりするようです。
小学生は字を書き始める大事な時なので、教科書をお手本にしてそのまま書けばいいようにしているのでしょうね。
違うフォントを並べて比較してみました。
一番下が教科書体です。
この中では一番手書きに近い文字ですよね。
教科書体のススメ。
ということで、日本語教師の皆さんでプリント類作成時に明朝体やゴシック体を使っている方は、これからUDデジタル教科書体を使いませんか?という、おすすめ記事でした。
ちなみに今はWindowsやパワーポイントにも標準装備されているので、簡単に使うことができます。何の手間もお金もかかりません!
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