文科省の認定校制度、認定率31%!日本語学校は生き残れるのか⁉

現役日本語教師の方

現在、国内の日本語教育業界は、大きな転換期にあります。

その象徴的な動きの一つが、文科省による日本語教育機関の「認定校」制度です。

認定を受けられるかどうかで、日本語学校の将来が左右される・・・ということで、

この結果に今、日本語学校界隈がざわついています・・・・・。

果たしてすべての日本語学校が生き残れるのでしょうか⁉

先日、文科省より「認定日本語教育機関の認定結果」が公表されました。

⇩こちらです⇩

認定日本語教育機関の認定結果(令和7年度1回目)

申請機関は74機関。

うち、認定されたのは23機関。

約31%の認定率でした。

51機関は審査中に申請を取り下げたので「不認定」校はなかったわけですが、

それにしても51もの機関が「このままでは認定はされないから取り下げた」わけです。

・・・けっこうシビアな結果だなあと思います。

(申請後に審査を受けている段階で、「不可」になる可能性のある場合、それを親切に教えてくれるそうです。ですから正式に「不可」とされる前に取り下げるわけです)

ちなみに、この認定までのプロセスは以下のようになっています。(6ページ以降をご覧ください)

認定日本語教育機関の認定申請に係る実務説明会 ー認定申請に向けた準備等についてー

この申請は、日本語学校が手間暇かけて必死に準備しないとできないものです。

事務方で整えなければならないことも多数ありますが、

教務の方でも既存のカリキュラム、シラバス、評価方法、教員の研修方法…等々を見直し、全面的に変えなければならない学校が日本中に多数あると思います。

文型積み上げ式のシラバスを伝統的に続けてきた学校にとって、CAN DOシラバスに変更することは、一大事です。

そして今回、それを一生懸命にやったであろう74の学校のうち、無事に認定されたのはたった23校…。

この結果を見て、「とりあえず様子見」を決め込んでいた学校関係者は内心慌てているのではないでしょうか?

既存の日本語学校がこの先も途切れることなく「留学生」を募集し、令和11年(それまでは「経過措置期間」として従来通り留学生への日本語教育ができる)以降も日本語教育を続けていく(=認定校になる)ためのタイムリミットは、

令和10年の1回目の認定。(4~5月に事前相談、申請締め切りは5月下旬)

です。

ちなみに過去の認定結果はこちら

令和6年度1回目は、72校申請➡22校認定。

令和6年度2回目は、48校申請➡19校認定。

そして今回(74校申請➡23校認定)。

つまり毎回認定率は30~40%程度です。

・・・現在、法務省の告示校である日本語学校は、800校以上あるようです。

001417411.pdf

今の認定ペースだと、「全ての学校が無事認定校に移行する未来」はないように思います・・・。

もちろん日本語教育はなにも「認定校」でなくてもできますから、今後認定校以外の道で日本語教育を志す学校もあるでしょう。

でも大半の学校は認定校を目指すのではないでしょうか?

だとしたら・・・いったいどうなってしまうのでしょう???

この厳しい認定基準をクリアすることで、日本語学校が淘汰され、本当に良質な学校だけが生き残り、そうでない学校は消える・・・

のであれば、それは歓迎すべきことなのかもしれません。

でもそうなれば、【日本語学校に入り、そこから大学や専門学校へ、というルートをたどる「留学生」】も減るでしょう。

現状、国が目指していた「留学生30万人計画」は既に達成しています。

※ 参考までにご覧ください。「留学生政策の基本方針」(文化庁)
※ 文科省によれば2024年度の留学生数は336,708人だそうです。「2024(令和6)年度外国人留学生在籍状況調査結果」(JASSO)

だから、今後は減らしていきたいのでしょうか・・・?

いやいや、読売新聞オンラインによればこんな動き「留学生受け入れ増へ大学定員の上限緩和、低迷する学部留学生の比率高める…26年度から実施へ」もあるわけです。

だからよく分からないのです。

留学生は増やしていきたいらしい(目標は2033年までに40万人!だとか)、しかし日本語学校は減りそうだ。

ということは、日本語学校などを経ずに直接大学に入ることのできる、ものすごく優秀な留学生だけを受け入れたいのだろうか?

そんなに優秀な学生が40万人も今の日本に集まるわけがないと思うんですよね・・・。残念ながら。

一介の日本語教師である私には、国が何を考えているのか、この業界が今後どうなっていくのか、分からないことだらけです。

でも、私達が今後もこの仕事を長く続けていくためには、業界の未来を見据えて自分のキャリアを考えていくことが必須です。

日本語学校が減るかもしれない未来に備えて、自分は何をしておくべきなのだろう?

・・・ひとまず、国家資格は来年得る予定です!

皆さんは、どんな風に備えますか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました